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成約49組で営業利益76%減——インテグループの競争力は消えたのか

・ 約6分で読めます ・ 文責: けいすけ@有報全部読む

インテグループの2026年5月期は、M&Aの成約が43組から49組へ14.0%増えました。ところが営業利益は4.97億円から1.20億円へ75.9%減っています。仕事を多く成立させたのに、利益は4分の1です。

今回の問いは一つです。これは大型案件の計上時期に振られただけなのか。それとも、完全成功報酬という差別化が、利益を残す競争力にはなっていないのかを確かめます。

市場は76%減益を見て、収益力が崩れたと判断しやすいはずです。一方で、成約数の増加だけを見て一過性と片づけるのも早い。会社の実力は、件数、1組当たり売上高、コンサルタントの生産性を分けると見えます。

目次
  1. この会社は何をしている会社か
  2. 件数は増えた。それでも利益が減った理由
  3. 競争力は料金設計にある。ただし堀はまだ浅い
  4. 構造的な行方——需要、コスト、資本配分
  5. 株価への含意——回復は織り込むが、ピーク回帰までは見ていない
  6. 限界と、次に見るポイント

この会社は何をしている会社か

インテグループは、中小企業の売り手と買い手の間に入り、相談、企業価値評価、相手探し、条件交渉、契約、決済までを支援するM&A仲介会社です。2026年5月期の売上高は15.58億円、従業員は65人で、東証グロース市場に上場しています。M&A仲介の単一事業です。EDINETのサービス業276社比較では営業利益率7.7%で127位、中央値6.5%を上回りますが、上位四分位12.1%には届きません。

件数は増えた。それでも利益が減った理由

EDINETの5年財務、有報本文、業種内比較を使い、2025年5月期と2026年5月期を同じ物差しで比べました。株価指標だけは9月1日9時時点の現値で計算しています。

指標2025年5月期2026年5月期変化
成約組数43組49組+14.0%
1組当たり売上高44.00百万円31.80百万円-27.7%
平均コンサルタント数38.0人45.5人+19.7%
1人当たり成約組数1.1組1.1組横ばい
営業利益率26.3%7.7%-18.6ポイント

この表から言えるのは、営業量が止まったのではなく、案件の中身が小さくなり、人員増の効果がまだ生産性に出ていないことです。有報では、大型案件を含む複数案件で検討期間の長期化や不成立が重なり、1組当たり売上高が落ちたと説明しています。

粗利益率も55.2%から46.2%へ低下し、販管費は5.47億円から6.00億円へ増えました。会社は最大40%以上のインセンティブ率を設け、広告投資も拡大する方針です。成約数が増えて直接費が残る一方、単価が下がり、採用・広告の費用が先に出た。この経路なら、減益は「案件計上のずれ」だけでは説明できません。

利益の現金化は直近年度では確認できます。営業キャッシュフローは1.76億円で、純利益0.86億円を上回りました。ただし前年は純利益3.11億円に対して営業キャッシュフローが2.24億円のマイナスでした。完全成功報酬で決済完了時に売上を立てるため、利益も現金も年度ごとの案件構成に振られます。安定収益型ではありません。

競争力は料金設計にある。ただし堀はまだ浅い

差別化は具体的です。売り手・買い手の双方から着手金と中間金を取らず、決済まで完了しなければ報酬は発生しません。最低成功報酬は15百万円。会社調べで上場大手4社の20〜25百万円より低く、譲渡額3億円以下の小規模案件では顧客の費用と失敗時のリスクを下げます。

もう一つは、1人のコンサルタントが初期相談から決済まで担当することです。引き継ぎを減らし、顧客との信頼と処理速度を両立させる設計です。完全成功報酬と合わせれば、顧客が相談を始める障壁は下がります。49組への増加は、この入口の競争力が機能した証拠です。

ただし、価格が安いこと自体は模倣できます。M&Aは一度きりの取引も多く、典型的なスイッチングコストも弱い。2026年5月期に紹介料が発生した案件は49組中11組で、まだ直接開拓が中心です。会社自身も知名度の低さを課題に挙げています。1人当たり成約数も1.1組で横ばいでした。

私は、競争力は「確立済みの堀」ではなく「顧客獲得の強い入口」と読みました。営業利益率は2024年5月期44.8%、2025年26.3%と高かった一方、今期はサービス業の中央値をわずかに上回るだけです。料金設計の優位を、紹介網と人材育成による再現可能な生産性へ変えられるかが次の段階です。

構造的な行方——需要、コスト、資本配分

需要面では、会社は中小企業経営者の高齢化と後継者不足を背景に、事業承継M&Aが中長期で拡大すると見ています。小規模案件を低い最低報酬で拾う位置取りは、この需要に合います。反面、会社がリスクとして挙げる国内M&A市場の低迷や競争激化が起きれば、成約まで長い完全成功報酬は売上の空白期間を生みます。

コスト面では、従業員が2年で39人から65人へ増えました。採用した人が研修と案件経験を経て1人当たり成約数を上げれば、販管費を吸収できます。上がらなければ固定費だけが残ります。2027年5月期の会社予想は売上高20.93億円、営業利益3.06億円で、予想利益率は14.6%です。回復計画ですが、2025年の26.3%には戻らない前提です。

資本配分は設備より人材、広告、還元です。2026年5月期に設備投資はなく、新設計画もありません。期末の自己資本比率は85.8%、現金は8.22億円。配当性向は50.2%、翌期配当は1株50円を予想し、会社は長期目標を80%としています。資産を積む会社ではなく、人の生産性が利益と配当を決める会社です。

株価への含意——回復は織り込むが、ピーク回帰までは見ていない

9月1日9時時点の株価1,280円に、会社予想EPS99.82円と実績BPS879.29円を当てると、予想PERは12.82倍、実績PBRは1.46倍、時価総額は27.96億円です。有報期末株価ベースではなく、同時点の現値で再計算しています。

この評価は、営業利益が1.20億円から3.06億円へ戻る会社予想をすでに使っています。つまり市場は回復を全く信じていないわけではありません。一方、予想利益率14.6%はサービス業の上位四分位12.1%を上回るものの、過去2期の26〜45%台には遠い。現在の株価が織り込むのは「人員投資を吸収して平均以上へ戻るが、以前の高採算は例外だった」という姿に近いと私は見ます。

この読みの前提は、成約数が増え、1組当たり売上高が31.80百万円から回復し、1人当たり成約数が1.1組を上回ることです。紹介案件が49組中11組から増えれば、直接広告だけに頼らない案件供給も確認できます。

反証条件は、成約数が伸びても1組当たり売上高が30百万円前後以下にとどまり、営業利益率がサービス業中央値6.5%近辺へ再び落ちることです。逆に、1人当たり成約数と紹介比率が上がり、利益率が会社予想14.6%を継続的に超えるなら、「料金の安さは利益を削るだけ」という見方が外れます。

限界と、次に見るポイント

同社は単一セグメントのため、案件規模別・紹介経路別の採算は開示されていません。最低成功報酬の比較は2025年7月末時点の会社調べで、市場シェアも未確認です。業種比較はM&A仲介だけでなくサービス業全体を含みます。株価は9月1日9時時点で変動します。

次は2026年9月下旬予定の2027年5月期第1四半期決算です。正確な発表日は未確認です。会社IRライブラリーの決算説明資料で、成約組数、1組当たり売上高、平均コンサルタント数、1人当たり成約組数を確認します。見る順番は売上より先に、この4つです。料金設計が競争力へ育ったかは、件数ではなく単価と生産性が同時に上がったときに分かります。

データ出所: インテグループ 第19期有価証券報告書、EDINET DB 有報テキスト(FY2026)(2026年9月1日取得)、インテグループ IR情報サイト、Yahoo!ファイナンス・インテグループ(2026年9月1日9時確認)

本記事は公開データに基づく機械的な試算であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。