マーケット深掘りノート

予約は10%増、営業利益は23.9%増。Airbnbで何が起きている?

予約は10%増、営業利益は23.9%増。Airbnbで何が起きている?の図解ポスター

旅行の予約が1割増えたら、利益も1割ほど増える。普通はそう考えます。

ところがAirbnbの2026年4〜6月期は、宿泊・体験の予約数が前年同期比10%増だったのに、売上高は17%増、営業利益は23.9%増でした。8月7日の株価は17.4%上昇しています。

この差は、旅行需要が戻っただけでは説明しきれません。予約単価、手数料、そしてAIによる顧客対応の省力化が重なった結果です。

予約数より利益が速く伸びた

Airbnbの4〜6月期の売上高は36.08億ドル、営業利益は7.58億ドルでした。純利益は8.16億ドルで27.1%増ですが、ここには税制変更に伴う7,700万ドルの一過性利益が含まれます。そのため、本稿では基調を表す数字として営業利益を重視します。

総予約額は272億ドルで16%増、宿泊・体験予約数は1億4,800万件で10%増です。平均日額は184ドルと5%上がり、Airbnbが予約額から得る比率であるテイクレートは13.2%でした。

つまり、伸びたのは「件数」だけではありません。1件当たりの金額が上がり、そこから得る売上も増えました。調整後EBITDAは12.61億ドルで20.9%増、同マージンは35%です。

同じ時期のBooking Holdingsは、宿泊予約が3億2,500万泊で5%増、売上高は8%増でした。規模はBookingの方が大きい一方、今回の成長速度はAirbnbが上回っています。

AIはどこで利益に効いたのか

Airbnbの説明で目を引くのが顧客対応です。AIアシスタントが問い合わせの45%を人手なしで解決し、予約当たりの顧客対応コストは16%下がったとしています。

これは突然出てきた数字ではありません。1〜3月期の会社資料では、AIによる自己解決率は40%超、予約当たりコストは約10%減でした。四半期をまたいで改善が続いた形です。

旅行サービスには、日程変更、キャンセル、返金、施設とのトラブルなど多くの問い合わせがあります。予約が増えるたびに対応人員も同じ割合で増やす必要があれば、売上が伸びても利益率は上がりにくいでしょう。簡単な問い合わせをAIが処理できれば、人は複雑な案件へ集中できます。

ただし、ここは会社側の測定値です。45%を自動処理できたことと、利用者が満足したことは同じではありません。誤案内で再問い合わせや補償が増えれば、最初に減ったコストが後から戻る可能性があります。

日本の旅行会社にも同じ問いが向く

日本でも旅行流通は変化しています。観光庁によると、住宅宿泊仲介業者などが扱う民泊物件は2026年3月末で16万8,275件あり、このうち住宅宿泊事業法の届出住宅は5万1,070件です。

エイチ・アイ・エスの2025年10月期は、売上高3,731.06億円、営業利益116.27億円、営業キャッシュフロー212.19億円でした。旅行事業が売上の82.9%、日本が国別売上の79.6%を占めます。会社は旅行予約システムなどへ32.32億円を投じ、2026年度方針に「AI、テクノロジーと人との協業」を掲げています。これらはEDINETの有価証券報告書で確認できます。

AirbnbとH.I.S.は同じ事業モデルではありません。それでも共通する問いがあります。予約が増えたとき、人件費や広告費をどれだけ増やさずに売上と利益へ変えられるか、という問いです。

エアトリ、アドベンチャー、オープンドアのようなオンライン旅行会社も、予約件数だけでなく、広告費、手数料、AI検索や顧客対応のコストを見る必要があります。ホテル会社にとっては旅行需要の回復が追い風になる一方、民泊在庫の増加は繁忙地の供給を増やします。

投資家として次に何を見るか

Airbnbは2026年通期の売上成長率を約15%、調整後EBITDAマージンを少なくとも35.5%と見込んでいます。Q3売上高の会社予想は46.9億〜47.7億ドルです。

確認したいのは、予約数、平均日額、テイクレート、AI解決率、顧客対応コストの5つです。予約数が伸びても、価格上昇で利用者が離れれば持続しません。AI解決率が上がっても、苦情や補償が増えれば本当の効率化とは言えません。

8月7日は米金利低下と市場全体の株高も同時に起きました。Airbnb株の17.4%上昇をすべて決算だけで説明するのは危険です。一方、主要指数を大きく上回ったことから、利益率改善と上方修正が強く評価されたのも確かです。

まとめ

今回の決算のポイントは、旅行が戻ったことだけではありません。予約数+10%を売上+17%、営業利益+23.9%へ変えたことです。

旅行株を見るとき、「何件予約されたか」に加えて、「1件からいくら得たか」「対応にいくらかかったか」を見る。Airbnbの決算は、その重要性をはっきり示しました。

本記事は情報提供目的であり、投資助言ではありません。