売上28%増なのに営業利益8%減? AI投資で分かれたMicrosoftとMeta

売上が28%も増えた会社の営業利益が、逆に8%減りました。
数字だけを見ると、少し変です。これはMeta Platformsが2026年7月29日に発表した4-6月期決算です。売上高は608.01億ドルと前年同期比28%増えましたが、費用は420.26億ドルと55%増えました。その結果、営業利益は187.75億ドルと8%減り、営業利益率は前年同期の43%から31%へ低下しました。
同じ日に決算を出したMicrosoftも、AI向けの設備投資を増やしています。それでも営業利益は18%増えました。時間外取引ではMicrosoftが2.4%上昇し、Metaは6.2%下落しました。市場が見ているのは、もはや「AIにいくら使ったか」だけではありません。「使ったお金を、どれだけ早く売上とキャッシュに変えられるか」です。
同じAI投資なのに、なぜ差がついたのでしょうか
Microsoftの2026年6月期第4四半期は、売上高900.07億ドル、営業利益406.03億ドルで、ともに前年同期比18%増でした。Azureなどクラウドサービスは43%増、将来売上になる商用RPOは6,780億ドルと84%増えました。AI投資がクラウド利用料や契約へつながる道筋が見えます。
四半期設備投資は410億ドルで、約3分の2がCPU・GPU中心でした。それでもフリーキャッシュフローは196億ドルです。ただしGAAP純利益にはAnthropic投資の32億ドル評価益などが含まれるため、事業利益と投資損益は分けて見る必要があります。
Metaの費用増は、全部AIのせいではありません
Metaの四半期設備投資は310.8億ドル、フリーキャッシュフローは7.84億ドルでした。通期設備投資見通しも1,300億〜1,450億ドルへ下限を引き上げ、AIインフラへの強気姿勢を維持しています。
ただし費用には訴訟関連24億ドルと退職関連11.8億ドルが含まれます。広告表示回数は14%増、広告単価は12%増で、本業需要まで弱いわけではありません。論点は「AIの失敗」ではなく、広告成長がAI・人材・訴訟などの費用増をいつ吸収できるかです。
日本の半導体株には追い風、それとも逆風?
需要数量だけを見れば追い風は残ります。MicrosoftはFY2027の設備投資増、Metaは通期レンジ下限の引き上げを示しました。
日本株ではアドバンテスト(6857)が分かりやすい例です。AI向けSoCやHBMの多ピン化・高速化・高発熱化はテストを複雑にします。EDINET(edinet-insight)によると、2026年3月期は売上高1兆1,286.10億円、営業利益4,991.20億円、ROE57.6%、研究開発費781億円でした。
経路は東京エレクトロン(8035)の前工程装置、ディスコ(6146)の切断・研削、キオクシア(285A)のメモリー、フジクラ(5803)などの光配線にも広がります。ただし7月28日の取引中には、Reutersのスナップショットでキオクシアが18%安、東京エレクトロンが11%安でした。需要が強くても、高い期待値が剥がれれば株価は先に下がります。
次は何を見ればよいのでしょうか
見るべきは、①クラウド・AIサービス成長率、②RPOや受注残、③フリーキャッシュフロー、④会計処理の4点です。
特にMicrosoftはデータセンターなどの見積耐用年数を15年から25年へ延ばしました。一部リースの分類が変わり、2026暦年の表示上の設備投資見通しは約1,750億ドルになりますが、会社は投資計画の実体は変わらないと説明しています。表面の設備投資額だけでは誤読します。
直近では、7月30日のApple・Amazon・東京エレクトロン決算、7月31日の日銀会合が続きます。次のNVIDIA決算ではデータセンター売上、供給制約、中国向け規制、粗利率が焦点です。
まとめ
今回の決算が示したのは、AI設備投資の終了ではありません。むしろ投資は続いています。ただ、市場の評価軸が「投資している会社」から「投資を売上・利益・現金へ変えられる会社」へ移っています。
日本の半導体供給網には需要の土台がありますが、顧客の投資効率と株価に織り込まれた期待値を同時に見る必要があります。
本記事は情報提供目的であり、投資助言ではありません。