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住宅着工が12.4%減でもHome Depotは増収――住宅株を一括で見てはいけない理由

・ 約4分で読めます ・ 文責: マーケット深掘りノート編集部

住宅着工が12.4%減でもHome Depotは増収――住宅株を一括で見てはいけない理由の図解ポスター

Home Depotは、工具、木材、塗料、水回り用品などを一般消費者と建築業者へ売る、世界最大のホームセンター企業です。2026年度2Qの売上高は478.61億ドル、期末時点で小売店2,364店と、業者向け流通のSRS拠点1,340カ所超を展開しています。

この会社の最新決算に、少し変な数字がありました。既存店売上は前年同期比1.7%増えたのに、取引件数は1.0%減っていたのです。しかも同じ8月18日、米国の7月住宅着工は前月比12.4%減と発表されました。

「Home Depotが増収なら、住宅市場は底打ちしたのでしょうか」。結論から言えば、そう読むのは早計です。今回見えているのは住宅需要の全面回復ではなく、新築・大型工事と、既存住宅の小口修繕が別方向へ動く二極化です。

目次
  1. 増えたのは客数ではなく、1回当たりの金額です
  2. なぜ着工減とホームセンター増収が同時に起きるのでしょうか
  3. 日本株では「米住宅関連」を三つに分けます
  4. 次は何を、いつ確認すればよいでしょうか

増えたのは客数ではなく、1回当たりの金額です

Home Depotの2Q売上は前年同期比5.7%増、既存店売上は1.7%増でした。ところが、既存店の取引件数は1.0%減り、平均客単価は2.8%増えています。0.99×1.028を計算すると1.0177となり、既存店売上の1.7%増とほぼ一致します。出所は同社の8月18日決算資料です。

つまり、来店・購入回数が増えたから売上が伸びたのではありません。価格や買われた商品の構成が、件数減を補ったのです。

APが引用したGlobalDataの調査では、小口工事件数は1.5%増えた一方、大型工事件数は2.1%減りました。Home Depot自身も、顧客は小規模プロジェクトに取り組んだと説明しています。

利益面も全面的に強いわけではありません。営業利益は4.3%増えましたが、営業利益率は14.5%から14.3%へ低下しました。商品在庫は前年同期比8.1%増と、売上の5.7%増より速く増えています。売上高のプラスだけを見ず、取引件数、在庫、利益率の三つをセットで見る必要があります。

なぜ着工減とホームセンター増収が同時に起きるのでしょうか

米商務省センサス局とHUDによると、7月の住宅着工は季節調整済み年率123.9万戸で前月比12.4%減、戸建て着工は80.8万戸で9.9%減でした。一方、建築許可は144.3万戸で5.0%増えています。許可は将来の候補、着工は実際に掘り始めた工事です。両者は同じ月に同じ方向へ動くとは限りません。

ここで住宅需要を二つに分けます。

新築や大規模改修は、土地、建材、人件費に加え、住宅ローンやホームエクイティ借入を使う大きな支出です。借入コストが高いと、計画ごと止まりやすくなります。

一方、既に住んでいる家の塗装、配管修理、工具、季節用品は、1回の金額が比較的小さく、先送りにも限界があります。住宅の売買が止まっても、住宅そのものは残り、古くなります。新築という「フロー」が弱くても、既存住宅という「ストック」から修繕需要は出続けるのです。

以前の記事では、Berkshireが住宅会社への投資を増やした一方、米戸建て市場は全面回復していないと整理しました(Google株、半年で約6倍?Berkshireの13Fに見えた「AIと住宅」)。今回の統計と決算は、そのまだら模様を実際の購入件数と客単価で確認した形です。

日本株では「米住宅関連」を三つに分けます

影響が最も直接的なのは、米国で戸建て住宅を供給する積水ハウス(1928)と住友林業(1911)です。

積水ハウスの2026年度1Q米国戸建住宅は、引渡戸数が2,769戸から2,176戸へ21.4%減り、売上高は18.7%減の1,937億円、営業損益は前年の3億円の黒字から98億円の赤字になりました。引渡単価は54.8万ドルから55.2万ドルへ0.7%上がりましたが、数量減を補えませんでした。粗利益率も19.1%から16.2%へ低下しています。出所は積水ハウスの6月4日決算説明資料です。

同社の2026年1月期は、売上高4兆1,979.22億円、営業キャッシュフロー2,163.25億円、総資産5兆66.37億円でした。出所はEDINET(edinet-insight)です。規模は大きくても、住宅は土地取得から引渡しまで資金が寝る事業です。米国では売上より、受注戸数、引渡戸数、値引き後の粗利益率、営業キャッシュフローを優先して見ます。

LIXIL(5938)やTOTO(5332)など住宅設備は、さらに分ける必要があります。新築向け数量には着工減が逆風ですが、交換・修繕向けは既存住宅から需要が出ます。国内のDCM HD(3050)やコメリ(8218)を見る場合も、Home Depotと同じく既存店売上を客数と客単価に分解すると、値上げと数量を混同しにくくなります。

次は何を、いつ確認すればよいでしょうか

強気シナリオは、7月の建築許可5.0%増が数カ月後の着工へ移り、住宅ローン金利の低下とともに新築・大型工事まで戻ることです。その場合、小売の取引件数と住宅メーカーの引渡戸数、粗利益率が一緒に改善します。

弱気シナリオは、許可が着工へ進まず、Home Depotの客単価上昇も鈍ることです。在庫が売上より速く増え続ければ、小口修繕の下支えだけでは利益率を守れません。

まず8月19日のLowe's 2Qで、既存店の取引件数、客単価、業者向け需要、大型工事の説明をHome Depotと比較します。次は8月25日10時(米東部時間)の米7月新築住宅販売で、販売戸数、在庫月数、中央値価格を確認します。

日本株では9月10日の積水ハウス2Q、米国統計では9月17日8時30分(米東部時間)の8月住宅着工が次の判定日です。住宅関連株を見る前提を「住宅市場は強いか弱いか」から、「新築の数量と既存住宅の修繕のどちらが利益を作っているか」へ変えることが、今回の数字の持ち帰りです。

本記事は情報提供目的であり、投資助言ではありません。