Google株、半年で約6倍?Berkshireの13Fに見えた「AIと住宅」

Googleの親会社Alphabetを、Berkshire Hathawayが何株持っているかご存じでしょうか。
2025年末は約1,780万株でした。それが2026年6月末には約1億600万株。わずか半年で約6倍です。
しかも、買っていたのはGoogle株だけではありません。米住宅大手Lennarを約30%、Delta Air Linesを44%増やす一方で、Bank of Americaを5.9%、Capital Oneを58%減らしていました。
全面的なリスクオンではありません。AIと住宅には資金を出し、銀行には慎重になる。8月14日提出のForm 13Fからは、そんな選別が見えてきます。
13Fで何が分かったのでしょうか
13Fは、一定規模以上の機関投資家がSECへ提出する米国上場株の保有報告です。今回の基準日は6月30日でした。
BerkshireのAlphabet保有はClass AとClass Cを合わせて約1億600万株、6月末評価額は約377.6億ドルです。4〜6月期だけで約4,810万株増えました。
この中には、6月にAlphabetがBerkshireへ私募した100億ドル分が含まれます。AlphabetはAIインフラ拡張を目的に、私募を含む最大847.5億ドルの資本調達を公表しました。
つまりBerkshireは、すでに市場で買っていたAlphabet株を増やしただけでなく、巨額のAI投資を支える資金の出し手にもなったのです。
前回の記事「45億ドルの自社株買い――『現金をためるBerkshire』が動き始めた?」では、現金の減少と100億ドルの私募投資まで確認しました。当時、次に見るべき資料として挙げたのが今回の13Fです。そこで投資先別の答えが出ました。
なぜ「AIと住宅」なのでしょうか
ここからは見立てです。
AIと住宅には共通点があります。どちらも先に大きなお金が必要な、資本集約型の事業です。
Alphabetはデータセンター、サーバー、ネットワークへ資金を投じます。住宅会社は土地を仕入れ、建物を完成させ、販売するまで資金が寝ます。短期国債ならすぐ利息が入りますが、AIや住宅は投資回収に時間がかかります。
それでも資金を振り向けたのは、長期で短期国債を上回る収益を期待したからだ、と考えられます。
ただし住宅市場は、見出しほど強くありません。6月の米住宅着工は年率142.7万戸で前月比19.0%増でしたが、戸建てだけなら0.2%減でした。建築許可は全体で3.0%減、戸建ては2.4%減です。集合住宅が全体を押し上げただけで、戸建て需要が全面回復したわけではありません。
30年固定住宅ローン金利も7月16日時点で6.55%でした。Berkshireが買っているのは「住宅市場全体」というより、値引きや金利支援、土地調達を使ってシェアを取れる大手供給者なのかもしれません。
銀行を減らし、住宅を増やすのは矛盾でしょうか
ここが今回の一番面白いところです。
BerkshireはLennarを増やし、7月にはTaylor Morrisonの68億ドル買収も完了しました。その一方で、Bank of America、Ally Financial、Capital Oneを減らしています。
住宅が売れると考えるなら、住宅ローンを扱う金融株も持てばよさそうです。しかし、住宅会社と銀行ではリスクの持ち方が違います。
大手住宅会社は土地在庫、価格、住宅ローン金利の買い下げを調整できます。銀行はカード、自動車、企業向けを含む幅広い信用リスクと資金調達コストを抱えます。
そこで「供給側の大手は買うが、信用全体には慎重」という組み合わせは成り立ちます。ただし、Berkshireは売買理由を説明していません。銀行株の削減を景気後退の予言と断定することはできません。
日本株では何を見ればよいでしょうか
注意したいのは、今回の13Fに日本の5大商社株が出てこないことです。13Fは米国上場株の報告であり、三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、住友商事の普通株は対象外です。
Berkshireの2025年末の5大商社株は合計評価額353.68億ドルでした。保有比率は三菱商事10.8%、伊藤忠10.1%、三井物産10.4%、丸紅9.8%、住友商事9.7%です。しかし今回の13Fから、6月末までに増やしたか減らしたかは分かりません。
日本株への直接的な示唆は、「Abel体制でも資本配分が止まっていない」という点です。商社については、保有継続・追加取得の期待と、実際の大量保有報告を分けて考える必要があります。
三菱商事の2026年3月期有価証券報告書では、収益18兆9,159.95億円、純利益8,004.60億円、営業キャッシュフロー1兆4,900.41億円、期末現金1兆8,414.64億円でした。出所はEDINET(edinet-insight)です。
ここで比べたいのは「Berkshireが持っているから上がるか」ではありません。商社が生んだ現金を、成長投資、配当、自社株取得へどのように配り、ROEを高めるかです。
米住宅では住友林業や積水ハウス、AIインフラではフジクラやアドバンテストが関連候補になります。ただし、連想だけでなく米国受注、販売価格、値引き、受注残へ実際に反映したかを見る必要があります。
投資家として次に何を見るべきでしょうか
まず8月17日です。13Fは米国市場終了後に出て、その後は週末でした。Alphabet、Lennar、Bank of America、Berkshire自身の開示後の通常取引はまだありません。一時的な寄り付きと終値を分けて確認します。
次は8月18日の米7月住宅着工・建築許可です。総数だけでなく戸建てを見ます。8月20日の住宅ローン金利、8月25日の新築住宅販売も続きます。
強気シナリオは、Alphabetが巨額投資をAI売上とキャッシュフローへ変え、大手住宅会社が高金利下でもシェアを伸ばすことです。
弱気シナリオは、AI設備の減価償却と株式の希薄化が利益を圧迫し、住宅ローン金利が6%台に残って戸建て需要が鈍ることです。銀行株削減が信用悪化への慎重姿勢だった、という見方も強まります。
そして11月中旬の次回13Fで、Alphabetと住宅の保有が続いているかを確認します。1回の保有増は大胆な取引ですが、2四半期続けば方針としての重みが増します。
まとめ
BerkshireのAlphabet保有は、半年で約1,780万株から約1億600万株へ増えました。住宅・航空を増やし、銀行を減らした今回の13Fは、現金をただ減らしたのではなく、投資先を選別したことを示しています。
ただし13Fは最大45日遅れの期末写真です。取得単価も売買理由も、日本株の増減も分かりません。
大切なのはBerkshireの銘柄をそのまままねることではありません。「なぜ資本集約型のAIと住宅へ今お金を出したのか」という仮説を、次の決算、住宅統計、キャッシュフローで検証することです。
本記事は情報提供目的であり、投資助言ではありません。