マーケット深掘りノート

売上25%増のIntelは急騰、売上24%増のAlphabetは下落。同じ好決算で何が違ったのか

売上25%増のIntelは急騰、売上24%増のAlphabetは下落。同じ好決算で何が違ったのかの図解ポスター

ほぼ同じ増収率、真逆の株価

この2日間の米国決算、数字を並べると不思議なことになっています。

3社とも売上の伸びはほぼ同じなのに、株価の反応は真っ二つに割れました。しかもテーマはどれも「AI」。同じブームの中にいるはずの会社で、なぜここまで差がつくのか。今日はこの答え合わせをします。半導体株を持っている人には、わりと実用的な話だと思います。

何が起きたか: Intelの決算が予想を大きく超えた

まず数字から。Intelの2026年4-6月期は売上高161億ドルで前年同期比25.4%増。市場予想を11.6%上回り、四半期の増収率としては2011年以来の高さでした。中身を見ると、データセンター&AI事業が59%増、受託製造(ファウンドリ)が31%増。EPSは市場予想のほぼ2倍で、次の四半期の見通しも予想を上回りました。CEOは「AIがコンピュートに前例のない需要を生んでいる」とコメントしています。

一方、前日のAlphabetは売上・クラウドとも絶好調だったのに、通期の設備投資計画を1,950億〜2,050億ドルへさらに引き上げ、四半期のフリーキャッシュフロー(自由に使える現金の出入り)が58億ドルの赤字に転落しました。Teslaも増収ながら営業利益率が4.1%から1.4%へ急低下。市場が売った理由は、どちらも「稼ぎ」ではなく「出ていくお金」の方でした。

なぜ差がつくのか: 「払う側」と「受け取る側」

種明かしをすると、3社はAI投資というお金の流れの、逆側に立っています。

AlphabetのようなIT大手は、AIのためにデータセンターを建てる側。つまりお金を「払う側」です。投資を増やせば増やすほど、手元の現金は減ります。それに対してIntelは、そのデータセンターに入るチップを「売る側」。IT大手が投資を増やすほど、注文が積み上がります。データセンター向け売上59%増という数字は、Alphabetたちが払ったお金がIntelに流れ込んでいる、ということそのものです。

だからこの3社の決算は矛盾していません。むしろセットで見ると「AI投資の総量は本物で、拡大を続けている。ただしその負担は払う側の財務を確実に圧迫し始めている」という一つの絵になります。ここ2週間くらい話題になっていた「AI投資は回収できるのか」という懐疑論は消えたわけではなく、宿題として払う側に残ったままです。Intelの好決算は「需要は本物か?」に答えただけで、「その投資は回収できるのか?」にはまだ誰も答えていません。

投資家として何を見るか

日本株に引きつけると、アドバンテストや東京エレクトロンといった半導体装置株は、この構図ではIntelと同じ「受け取る側」にいます。だから参考にすべきは前日のAlphabet・Teslaの下落よりも、Intelの決算の方です。米半導体株の指数(SOX)は7月20日から22日まで3営業日続伸したあと、Intel決算発表前の23日は小幅に反落しており、ちょうど方向感を探っていたところでした。

ただし気をつけたいのは評価水準です。たとえばアドバンテストは有報期末の株価ベースでPBR18.5倍・PER39.5倍(EDINET、edinet-insight調べ)。純利益が前期比2.3倍という強烈な成長を織り込んでの数字ですが、裏を返せば「Intel型の上振れがこの先も続く」ことが前提の値段です。好決算が出るたびに安心してよい水準ではなく、上振れが一度でも止まったときの反動も大きい。ここは見立てとして書いておきます。

次に見るポイントは3つ。今日の東京市場が Intel 決算をどう消化するか(この記事を書いている時点では寄り付き前です)、7月27日の中国メモリ大手CXMTの上海上場(半導体の供給過剰懸念が再燃するかどうか)、そして来週7月28-29日のFOMCです。

本記事は情報提供目的であり、投資助言ではありません。