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四国電力の378億円、利益に足す前に小売料金を見る理由

・ 約4分で読めます ・ 文責: けいすけ@有報全部読む

四国電力の378億円、利益に足す前に小売料金を見る理由の図解ポスター

四国電力(9507)は、四国の家庭や企業に電気を供給する地域電力会社です。発電・販売に加え、子会社の四国電力送配電が電線や変電所を運営しています。2026年3月期の連結売上高は7,618.62億円でした。有報データのEDINET(edinet-insight)と通期短信で確認しました。

「収入の見通しが378億円増える」。この数字を見ると、利益予想にも同じ額を足したくなります。私は、まず小売料金への反映を確認する材料だと読みました。送配電会社の収入増が、上場する親会社の増益として残るまでには、もう一段の条件があります。

目次
  1. 承認されたのは、増益予想ではありません
  2. 子会社に払ったお金は、連結すると消える
  3. インフレへの耐性は「回収できるか」で変わる
  4. 次に見るのは、料金表と適用日です

承認されたのは、増益予想ではありません

9月4日、四国電力は子会社が託送料金の収入見通しについて経済産業大臣の承認を受けたと開示しました。託送料金は、小売電気事業者が送配電網を使うために支払う料金です。

今回の申請では、規制期間の収入見通しを7,838億円から8,216億円へ、378億円増やすとしていました。目的は資材、労務費、金利の上昇への対応です。電気が急に大量に売れるという話ではありません。申請資料は、協力会社の賃金水準と施工力を維持するため、取引価格への反映が必要だと説明しています。

また、378億円は毎年の増収額ではありません。会社が示したのは、2026年11月以降の17か月を想定した増分で、年換算では約267億円です。計算は378×12÷17。これは当期の利益予想でも、翌期以降に永久に続く利益でもありません。7月31日の説明を読むと、期間の違いが分かります。

子会社に払ったお金は、連結すると消える

ここで会社の構造が効きます。

四国電力の販売部門が送配電子会社へ託送料金を払うと、子会社には収入が立ち、販売側には費用が立ちます。グループ全体の決算では、内部の収入と費用を消去します。社内でお金を移すだけでは、外から受け取るお金は増えません。

実際、2026年3月期の送配電事業売上は2,305.29億円。このうち内部売上高・振替高は1,529.36億円で、約66.3%です。残る外部顧客向けは775.92億円でした。端数処理で合計に小差があります。セグメント表には、こうした内部取引を消去することも明記されています。

この比率は既存売上の構成であり、今回の増収額のうち何割が消えるかを計算する比率ではありません。それでも、送配電の増収を見るときは、親会社の小売側でいくら回収できるかを一緒に見る必要があります。

外部の小売会社から受け取る託送料金の増加は、グループ外からの収入になります。一方、自社の小売分については、顧客向け料金への反映が外部収入を増やす経路です。会社自身も、小売に反映した場合には増分程度の連結収支への影響が生じる可能性を説明しています。ただし、9月4日時点でも具体的な業績影響は精査中です。

インフレへの耐性は「回収できるか」で変わる

私が構造上の変化と見ているのは、値上がりした費用を社内の効率化だけで吸収する段階から、規制期間の途中で料金へ戻す段階へ進んだ点です。承認によって、費用を回収する経路は一歩具体化しました。

ただし、承認と利益の確定は同じではありません。送配電設備の保守・更新には引き続き費用がかかります。小売の転嫁が遅れれば、送配電側の採算が改善しても販売側の負担が残ります。反対に、転嫁が進み、費用増を上回る回収が確認できれば、連結利益の見通しを見直す根拠になります。

直近の4~6月期は、発電・販売のセグメント利益が211.54億円に対し、送配電は5.22億円の赤字でした。ここでいう利益は、消去後に連結の経常利益と一致する指標です。連結の増益だけで送配電も好調と判断せず、両部門を分けて追います。 根拠は第1四半期短信のセグメント欄です。

読みが外れる条件も具体的です。小売への反映が進んでも、修繕費や資材費が想定以上に増え、送配電と販売を合わせた採算が改善しなければ、「回収経路の整備が利益を支える」という見方を弱めます。株価の上昇だけでは、この確認の代わりになりません。

次に見るのは、料金表と適用日です

監視欄には「正式な託送料金」「小売への反映範囲と開始日」「送配電・販売の利益」を追加します。

8月24日の事前算定では、低圧の平均託送料金は税抜きで1kWh当たり9.22円から10.74円へ上がる計算でした。ただし、これは審査結果を前提とする算定値です。単価資料も、正式単価は約款の変更届出後に改めて知らせるとしています。この差額をそのまま家庭の請求額の値上げ幅とは扱いません。

同業比較では、九州電力(9508)が8月3日に、11月1日から小売料金へ反映する方針を公表しています。同じ託送料金の見直しでも、小売方針がどこまで決まっているかは企業ごとに比較できます。

まず9月7日、四国電力のIRニュースで追加の料金方針を確認します。これは私が置く確認日です。その後は11月1日の託送料金適用予定に向け、正式な届出と小売側の開始日がそろうかを追います。次回中間決算の具体日は公式カレンダーで確認でき次第登録し、セグメント欄で送配電と販売の利益を照合します。

本記事は公開データに基づく分析と機械的な試算であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。本記事は情報提供目的であり、投資助言ではありません。